- どういうポイントで選べばいいかわからない
- 種類やデザインが豊富で迷ってしまう
- 位牌の大きさに決まりはあるのか
- 宗派によって違いがあるのか
位牌選びは、故人を偲び、ご先祖様を敬う上でとても大切なことです。この記事を読めば、様々な疑問を解決し、あなたにとってぴったりの位牌を選ぶことができます。
創業60年以上の老舗仏具店で2009年から勤務中。仏壇、仏具の販売はもちろん、国宝寺院、重要文化財指定寺院の仕事にも従事。専門家目線の正しいアドバイスをしていきます。
「位牌とは?時期で違う!」
位牌とは、故人の霊位を象徴するもので、仏壇に安置して供養します。一般的には、故人の戒名や没年月日などが刻まれています。使う時期によって、位牌の種類が異なります。四十九日までは、白木位牌(別名→仮位牌、野位牌、野辺位牌)を使います。四十九日後は本位牌に代わります。
位牌を選ぶ上でのポイント
☆宗派に合わせて位牌を選ぶ
位牌は、宗派によって使用の有無が異なります。ご自身の宗派に合った位牌を選ぶことが大切です。
- 浄土真宗本願寺派(お西)、真宗大谷派(お東)は位牌を使いません。
- 真言宗・天台宗・曹洞宗・臨済宗・日蓮宗・浄土宗は、白木位牌から本位牌へと作り替えて使用していきます。お寺様からのご指定がない場合は、お好みで選んでもらいます。
☆材質を選ぶ
位牌の材質は、木地、クリスタル、金属、石、ガラス、プラスチックなどがあります。特に何の材質を使用すると決まりがあるわけではありません。材質は、安置する雰囲気に合わせたり、お好みでお選びください。
- 木地: 黒檀、紫檀、欅、ウォールナットなど、様々な種類の木材が使われます。木目の美しさや重厚感が特徴です。
- クリスタル:透明感があり綺麗です。ここ近年のデザインで、種類は少なめです。
- その他:金属や石、ガラス、プラスチックなどもあります。
☆サイズを選ぶ
位牌のサイズは、決まりがあるわけではありません。仏壇の大きさや安置する場所に合わせて選びます。一般的には、 3.5寸~5.0寸の大きさのものが多いです。この大きさは、文字を彫り込む上部の札の大きさになります(※1寸=約3cm)。伝統型の仏壇に安置する場合は、4.0寸~5.0寸がおすすめです。最近のモダン仏壇(家具調仏壇)だと4.0寸がおすすめです。
☆デザインを選ぶ
位牌のデザインは、大きく分けて”伝統的なデザイン”と”モダンなデザイン”の2種類あります。仏壇のタイプや安置する場所の雰囲気に合わせるとよいです。故人の性別や趣味などに合わせて、選ぶこともできます。
- 伝統的なデザイン: 漆塗や金箔押し、唐木位牌など、伝統的なデザインは落ち着いた雰囲気があります。
- モダンなデザイン: シンプルでスタイリッシュなデザインは、現代のモダン仏壇(家具調仏壇)にもよく合います。
☆文字の種類を選ぶ
位牌に刻む文字の種類は、大きく分けて楷書体と行書体があります。ただ、文字入れを依頼する業者によっては、文字が決まっている場合があるので確認しておくとよいです。また、宗派によって梵字を使用したりもします。戒名をいただいたお寺様の宗派を確認しておきましょう。お寺様によっても旧字体を使用したり、特殊な文字を使うこともあります。お寺様にも事前に確認しておきましょう。
- 楷書体: 正式な書体で、位牌に最も多く用いられます。
- 行書体: 流麗な書体で、故人の個性を表現したい場合に適しています。
- 梵字:一文字で仏様を現わしてます。宗派やお寺様によって使用の有無が違います。一般的には、天台宗、真言宗が本位牌で使用します。
☆価格帯を選ぶ
位牌の価格は、5,000~十数万円とかなり幅があります。国産や外国産の違い、材質やデザイン、サイズによって大きく異なります。一般的に、1万円以下は外国製品が多く、国産に比べると雑な作りが多いです。長年使っていくものになるので、国産品をおすすめします。また、同じ漆塗りの位牌になると塗り方によっても金額が変わってきます。通常塗り<上塗り<呂色塗りの順に高級になります。また、春慶塗りや鏡面加工などの艶やかな仕上げでも金額の差があります。
「位牌選びで見落としがちなこと」
位牌は消耗品ではない: 位牌は一度購入すれば長く使い続けるものです。基本的には、年忌法要が終わるまで使用します(一般的には50回忌まで)。安価なものを選ぶのではなく、品質の良いものや故人(先祖)を尊重できるようなものを選びましょう。
「位牌の役割」
- 故人の象徴: 位牌は、亡くなった方の魂が宿るものとして考えられ、故人の象徴とされています。
- 供養の対象: 仏壇に安置された位牌に向かって手を合わせ、故人を供養します。
- 家系を繋ぐもの: 位牌は、家系を繋ぐ象徴であり、家族の絆を深める役割も担っています。
「位牌のお手入れ」
位牌のお手入れの基本
- ホコリ払いは定期的に: 位牌の表面には、柔らかい毛バタキなどで定期的にホコリを払ってください。
- 汚れが付着した場合は: 柔らかい乾いた布で優しく拭き取ってください。水拭きや洗剤の使用は避けてください。
- 金箔や金粉の部分: 強くこすると剥がれる恐れがあるため、優しく扱うようにしましょう。
- 水分は厳禁: 木材でできているため、水分は変形や腐食の原因になります。
より詳しいお手入れ方法
塗り位牌
- 金箔や金粉、蒔絵が施されている場合は、これらの部分に触れないように注意してください。
- 柔らかい乾いた布で、塗りの部分を中心に優しく拭き取ります。
木地位牌
- 木の素材そのものを生かした位牌です。
- ほこりを払い、柔らかい布で乾拭きしてください。
注意点
- 位牌はご先祖様の位牌ですので、丁寧に取り扱ってください。
- 不安な場合は、仏具店にご相談ください。
間違ったお手入れ例
- 水拭き: 木材が変形したり、塗りが剥がれる原因になります。
- 洗剤の使用: 位牌を傷める可能性があります。
- 強い力でこする: 金箔や金粉が剥がれる原因になります。
その他
- 位牌の素材や種類によって、お手入れ方法が異なります。 ご自身の位牌の素材や種類をご確認の上、適切な方法でお手入れしてください。
- 定期的なお手入れにより、位牌を長く美しく保つことができます。
「位牌の修理」
一般的な修理内容としては、以下のものが挙げられます。
- 台座の修復: 割れた部分を接着したり、新しい台座に交換したりします。
- 金箔の修復: 剥がれた金箔を貼り直したり、新しい金箔を施したりします。
- 文字の彫り直し: 戒名などが薄れてしまった場合、彫り直します。
- 全体の塗り直し: 汚れや変色がひどい場合は、全体を塗り直します。。
ご自身で修理するのは難しいです、仏具店に相談することをおすすめします。修理にかかる費用や期間は、破損の程度や修理内容によって異なります。
「よくある質問」
- 位牌はいつまでに用意すれば良いですか?
四十九日法要までに用意するのが一般的です。 - 位牌は複数あっても良いですか?
複数あっても問題ありません。 - 位牌の文字は誰が書くのですか?
仏具店や書道家などに依頼することができます。
「まとめ」
位牌は、単なる道具ではなく、故人を偲び、家族の絆を深めるための大切なものです。その歴史や役割を理解することで、より深く位牌の意味を知ることができます。
この記事を参考に、ご自身の納得のいく位牌を選んでもらえたらと思います。
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