【位牌の作り方】仮位牌から本位牌へ。失敗しないための全手順とチェックリスト

【はじめに】「仮位牌」から「本位牌」へ。その意味、分かりますか?

葬儀が終わり、ご自宅の祭壇に安置された「白木位牌(仮位牌)」。
そして、お寺様からは「四十九日までに、本位牌を準備してくださいね」と伝えられる。

多くの方にとって、「仮」と「本」の違いや、なぜ作り替える必要があるのか、そして具体的に何をすれば良いのか、分からないことだらけだと思います。

スギ

こんにちは。「仏具の教科書」のスギです。
この記事では、その「仮位牌」から「本位牌」への引き継ぎを、誰でもスムーズに、そして故人への想いを込めて行えるよう、その全手順を分かりやすく解説します。

1. 役割の違いを知る:「仮位牌」と「本位牌」

まず、なぜ2つの位牌があるのか、それぞれの役割を理解しましょう。

白木位牌(仮位牌)本位牌
役割葬儀後のまだ心が定まらない時期に、故人を偲ぶための「仮の標(しるべ)」落ち着いた心で、末永く感謝を伝えるための「気持ちを表す道具」
材質白木(杉や檜など)黒檀、紫檀、漆塗りなど
使用期間ご逝去~四十九日まで四十九日法要以降、ずっと

この二つの位牌の違いは、それに向き合う私たちの「心の段階」を表していると考えると分かりやすいです。

葬儀直後の、まだ心が定まらない時期に、故人を偲ぶための臨時の「標(しるべ)」が仮位牌です。そして四十九日という節目を迎え、少しずつ心が落ち着いてきた段階で、これから先、末永く感謝の気持ちを表現していくための、美しく整えられた「道具」として本位牌を準備するのです。

2.【実践】仮位牌から本位牌を作るための5つのステップ

それでは、具体的な手順を解説します。

STEP1:仮位牌の情報を記録する(写真を撮る)

まず、手元にある白木位牌の表と裏を、スマートフォンで撮影してください。ここには、戒名や没年月日など、本位牌に刻む全ての情報が書かれています。

STEP2:納期(四十九日)から逆算して計画を立てる

四十九日法要の日付を確認し、そこから最低でも3週間前には仏具店に相談しましょう。位牌の作成には、通常2週間はかかると考えてください。

STEP3:本位牌のデザインとサイズを選ぶ

どのような本位牌にするかを決めます。
大きさについては、既にご先祖様の位牌があれば、それより少し小さいか、同じくらいにするのが一般的とされています。

【プロの視点】
ただし、大きさに絶対の決まりはありません。故人への想いを込めて、より立派なものをとお考えであれば、ご先祖様より少し大きくしても全く問題ありません。また、お仏壇の買い替えなどで安置する場所が変わる場合は、その新しいスペースに合った最適な大きさのものを選び直すことが大切です。

▼「どんな種類があるか、まず全体像を知りたい」というあなたへ
こちらの記事で、本位牌の全種類を詳しく解説しています。
⇒【本位牌の完全ガイド】種類・選び方から作り方まで仏具店員が全解説

▼「リビングに合う、おしゃれな位牌を探している」というあなたへ
こちらの記事で、私が厳選したおすすめのデザインを紹介しています。
⇒【モダン位牌】リビングに合うおしゃれなデザイン10選

STEP4:仏具店で注文し、文字の校正をする

STEP1で撮った写真と、決めたデザイン・サイズを元に、仏具店で注文します。注文後、必ず文字のレイアウト(校正紙)を確認し、誤字脱字がないかをご家族の目でもダブルチェックしましょう。

STEP5:開眼供養と、仮位牌のお役目終了

完成した本位牌は、四十九日法要の際にお寺様による「開眼供養(かいげんくよう)」を経て、正式に礼拝の対象となります。
役目を終えた白木位牌は、お寺様にお渡しして、お焚き上げをしていただくのが一般的です。

3.【プロの視点】なぜ「仮」から「本」へ引き継ぐ必要があるのか?

この「仮位牌から本位牌へ」というプロセスは、単なる事務的な手続きではありません。
これは、残された私たち、生きている人のための、大切な心のプロセスなのです。

ご家族を亡くされてからの四十九日間は、心が落ち着かず、慌ただしい日々が続きます。その期間の象徴が、簡素な「仮位牌」です。

そして、四十九日という一つの節目に向けて、故人を想いながら、末永く手を合わせていくための美しい「本位牌」を準備する。
この「位牌を作る」という具体的な行動を通して、私たちは少しずつ悲しみと向き合い、故人への感謝を新しい「かたち」に整えていくのです。

【まとめ】

「仮位牌」から「本位牌」への引き継ぎは、故人のためであると同時に、残された私たちが心の平穏を取り戻し、故人との新しい関係を築いていくための、非常に大切な儀式です。

この記事が、あなたの後悔のない位牌作りを、力強くサポートできれば幸いです。

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この記事を書いた人

スギのアバター スギ 主任仏具コーディネーター

老舗仏具店にて16年以上勤務中。国宝寺院、重要文化財寺院、担当。仏壇、仏具、荘厳のプロ。

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