【はじめに】仏壇の中の「大切な品々」、どうすれば?
仏壇じまいを決意し、お寺様による閉眼供養も無事に終えた。
しかし、いざお仏壇の扉を開けると、そこにはご本尊様、お位牌、そして長年使ってきた、たくさんの仏具が…。
「これらは、一体どうすればいいのだろう?」
「普通に捨ててしまって、罰が当たったりしないだろうか?」
そのように、手が止まってしまっていませんか?
 スギ
スギこんにちは。「仏具の教科書」のスギです。仏壇業界に16年以上携わってきた経験から分かりやすく解説します。
この記事では、仏壇の中にある大切な品々を、①「お寺様にお返しするもの」、②「新しい祈りの場で使い続けるもの」、③「感謝を込めて手放すもの」に正しく仕分ける方法を、一つずつ丁寧に解説します。


1. 大前提:必ず「閉眼供養」の後に
まず、絶対に忘れてはならないのは、仏壇の中のものを整理するのは、必ずお寺様による「閉眼供養」を終えた後に行う、ということです。
閉眼供養によって、ご本尊様や位牌は、その礼拝の対象としての役割を終え、私たちは安心して次のステップに進むことができます。


2.【最重要】ご本尊様とお位牌の扱い方
仏壇の中で、最も丁重に扱うべきなのが、ご本尊様とお位牌です。




- ご本尊様(仏像や掛軸):
 → これは、あなたの家の信仰の中心です。必ず事前にご住職へご相談の上、菩提寺(お付き合いのあるお寺様)にお返しするのが、最も丁寧な形です。
- お位牌:
 → 位牌も、処分する場合は、菩提寺にお返しするのが最も丁寧な形です。お位牌は別途、閉眼供養が必要な場合もあります。仏壇じまいの閉眼供養を依頼する際に、「お位牌の引き上げもお願いできますか?」と必ず確認しておきましょう。
 [⇒【古い位牌はどうする?】の記事で、手順を詳しく解説しています]
3. その他の仏具の仕分けガイド
その他の仏具については、「今後も使うか、使わないか」で判断します。
| 仏具の種類 | 新しい祈りの場で「使う」場合 | 「手放す」場合 | 
|---|---|---|
| 花立・香炉・火立 | 状態が良ければ、そのまま使えます。 | 自治体のルールに従い処分します。半紙や白い紙に包んでから手放すと、より丁寧な気持ちを表せます。 | 
| おりん | 澄んだ音色は心を癒します。ぜひ新しい場所でもお使いください。 | 自治体のルールに従い処分します。半紙や白い紙に包んでから手放すと、より丁寧な気持ちを表せます。 | 
| お念珠(数珠) | あなた個人のものです。大切に持ち続けてください。 | 自治体のルールに従い処分します(可燃ゴミなど)。感謝を込めて、半紙や白い紙に包み、他のゴミとは別の袋に入れるなどの配慮をすると、より丁寧です。 | 
| 経本など | 菩提寺にお返しするか、大切に保管します。 | 自治体のルールに従い処分します(可燃ゴミなど)。感謝を込めて、半紙や白い紙に包み、他のゴミとは別の袋に入れるなどの配慮をすると、より丁寧です。 | 
| 遺影(写真) | 宗教的なものではありません。アルバムなどで大切に保管しましょう。 | 自治体のルールに従い処分します。半紙や白い紙に包んでから手放すと、より丁寧な気持ちを表せます。 | 
【プロの視点】「まだ使える仏具」を、どう考えるか
長年使ってきた仏具を手放すことに、「もったいない」と感じるかもしれません。
しかし、仏具は、使われてこそ、その価値を発揮する「道具」です。もし、押し入れの奥にしまい込んでしまい、二度と使われることがないのであれば、それは仏具にとって、とても寂しいことです。


むしろ、仏壇じまいを機に祈りの場が新しくなるのであれば、それに合わせて仏具も新しくすることを、私は強くお勧めします。
なぜなら、仏具はあなたの「気持ちを表す道具」だからです。「古いものを使い続ければ良い」というものではありません。


ご先祖様を本当に大切に想うのであれば、傷んだり古くなった道具よりも、新しく、綺麗な道具で手を合わせる方が、あなたの清らかな気持ちが、よりまっすぐに伝わるはずです。
美しく整えられた祈りの場は、あなたの感謝の気持ちを、より鮮やかに「かたち」として表現してくれるのです。
【まとめ】
仏壇じまいにおける仏具の整理は、単なる「片付け」ではありません。
一つ一つの品に込められた思い出と向き合い、「ありがとう」と感謝を伝えて、それぞれの役割を終えていただく、大切な儀式です。


この記事が、あなたの心の整理を、少しでもお手伝いできれば幸いです。
「仏壇じまい全体の流れも、もう一度確認したい」
そう思われた方は、こちらの「完全ガイド」で、仏壇じまいの全てを解説しています。










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