【はじめに】お彼岸を、もっと大切に過ごしたくなる話
「お彼岸だから、お墓参りに行かなくちゃ」
私たちは、毎年当たり前のように、そう思って過ごしています。
しかし、「なぜ、春と秋の年に2回あるの?」「そもそも、お彼岸って何の日なの?」と聞かれると、意外と答えに詰まってしまいませんか?

こんにちは。「仏具の教科書」のスギです。
この記事を読み終える頃には、あなたにとってのお彼岸が、単なる「年中行事」から、ご先祖様と、そして自分自身と向き合う、かけがえのない大切な一週間に変わっているはずです。
1. そもそも、お彼岸とは?【意味と期間】


お彼岸とは、仏教の言葉で、私たちがいるこの世界「此岸(しがん)」から、仏様やご先祖様がいる向こう岸の世界「彼岸(ひがん)」へと思いを馳せ、感謝を伝える期間のことです。
- なぜ春と秋?
春分の日と秋分の日は、太陽が真東から昇り、真西に沈む特別な日。仏教では、極楽浄土は西にあるとされているため、この日は「彼岸」と「此岸」が最も通じやすい日と考えられているのです。 - 2026年のお彼岸の期間は?
- 春のお彼岸: 3月17日(月) ~ 3月23日(日) (中日:3月20日(木) 春分の日)
- 秋のお彼岸: 9月20日(土) ~ 9月26日(金) (中日:9月23日(火) 秋分の日)
2. お彼岸には、何をすれば良い?【やることリスト】
お彼岸の期間中に、私たちがご先祖様への感謝を表すために行う、代表的な4つの行いです。


- お仏壇・仏具の掃除: まず、ご自宅の祈りの場を綺麗にします。
- お供え物の準備: 季節のお菓子である「ぼたもち」や「おはぎ」、そして季節の仏花をお供えします。
- お墓参り: ご先祖様が眠るお墓を綺麗にし、手を合わせます。
- お寺様の法要への参加: もし菩提寺で彼岸会(ひがんえ)が営まれる場合は、参加して仏様の教えに触れるのも良いでしょう。
3. お彼岸は、忙しい私たちが「大切なこと」を思い出すための装置
普段、私たちは生きることに必死で、「ご先祖様に感謝する」という、当たり前で、最も大切なことをつい忘れてしまいがちです。それは、仕方のないことかもしれません。
だからこそ、お彼岸という行事があるのです。


お盆やお彼岸、年忌法要といった仏事をご縁として、私たちは仏様の教えに触れ、「ご先祖様から命と知恵をいただき、その脈々と続く繋がりの中で、今、自分は生かされているのだ」という事実を、再確認することができます。
お彼岸とは、この感謝の心を思い出すための、先人たちが遺してくれた、非常に優れた「装置」なのです。ぜひ、この素晴らしい習慣を、有意義に活用していきましょう。
4.【プロの豆知識】「ぼたもち」と「おはぎ」の違い、知っていますか?
お彼岸のお供えの定番ですが、この二つの違い、ご存知ですか?


- 春のお彼岸 → 牡丹餅(ぼたもち):
春に咲く「牡丹(ぼたん)」の花にちなんで。餡に使われる小豆は、収穫から時間が経ち、皮が硬くなるため、こし餡で作られることが多いです。 - 秋のお彼岸 → 御萩(おはぎ):
秋に咲く「萩(はぎ)」の花にちなんで。収穫したばかりの柔らかい小豆を使うため、粒あんで作られることが多いです。
この違いを知るだけで、お供えする時の気持ちが、少し豊かになりますね。
5. お彼岸のお墓参り、正しい作法と持ち物


- 持ち物リスト:
数珠、お線香、ロウソク、お花、お供え物、掃除道具(たわし、雑巾など) - 掃除の手順:
まずはご本尊様とご先祖様へ合掌。敷地内の雑草を取り、墓石を水で清めます。 - お参りの手順:
お花、お供え物を捧げ、ロウソクに火を灯し、その火でお線香をつけます。心を込めて合掌礼拝。
6. お彼岸と「お位牌」の、本当の関係
「お彼岸までに、お位牌を準備しましょう」
仏具店では、よくそのようにご案内します。なぜでしょうか。
これは、「そうしなければならない」という決まりではありません。


お彼岸という、ご親戚一同が集まり、ご先祖様への想いが最も高まる、この素晴らしい機会に、故人のための「かたち」であるお位牌を準備し、みんなで手を合わせることができたら、それは何よりの供養になるからです。
もし、まだ本位牌がなく、準備を迷われているなら、お彼岸は最高のタイミングの一つと言えるでしょう。
[⇒【本位牌の完全ガイド】種類・選び方から作り方まで仏具店員が全解説]
[⇒【モダン位牌】リビングに合うおしゃれなデザイン10選]
【FAQ】お彼岸に関する、よくあるご質問
Q. 忙しくて、お墓参りに行けない場合はどうすれば良いですか?
A. どうか、ご自身を責めないでください。大切なのは、距離ではなく、故人を想う心です。お彼岸の期間中に、ご自宅のお仏壇をいつもより丁寧にお掃除し、心を込めて手を合わせるだけでも、その気持ちは必ずご先祖様に届きます。 [⇒お墓参りに行けない、と悩むあなたへ。本当の供養とは「手を合わせる心の習慣」です]
Q. お墓参りの服装に、決まりはありますか?
A. 法要などがなければ、普段着で全く問題ありません。ただし、ご先祖様にご挨拶に行くのですから、あまり華美な服装は避け、清潔感のある、落ち着いた色の服を選ぶと、より丁寧な気持ちが表せます。
Q. お供えした「ぼたもち」や「おはぎ」は、どうすれば良いですか?
A. しばらくお供えした後は、「お下がり」として、ご家族皆様でいただきましょう。ご先祖様からのお下がりをいただくことは、命の恵みに感謝し、ご先祖様との繋がりを再確認する、大切な供養の一部です。
【まとめ】
お彼岸は、ご先祖様への感謝を伝えると共に、私たち自身の生き方を見つめ直す、素晴らしい機会です。
ぜひ、心を込めて、この大切な一週間をお過ごしください。


お彼岸のお参りを、さらに心豊かなものにするために
感謝の気持ちを伝えるための「かたち」にも、こだわってみませんか?
私が心からおすすめする、本物の「香木のお線香」や、お仏壇を彩る「仏花」について、こちらの記事で詳しく解説しています。
【専門家が厳選】本物を知るあなたへ。香木お線香5選(公開予定)
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