【墓じまいの完全ガイド】費用・手続き・流れ・注意点を専門家が徹底解説

【はじめに】「墓じまい」は、前向きで誠実な選択です

「お墓の継承者がいない…」
「お墓が遠くて、なかなかお参りに行けない…」
「子どもや孫に、負担をかけたくない…」

「墓じまい」という言葉が頭をよぎる時、多くの方が、ご先祖様への申し訳なさと、将来への不安で、胸が苦しくなることと思います。

しかし、ご安心ください。
墓じまいは、決してご先祖様を軽んじる行為ではありません。
それは、残された私たちが、無理なく、そして心を込めて供養を続けていくための、現代における、前向きで、誠実な選択なのです。

スギ

こんにちは。「仏具の教科書」のスギです。
この記事では、そんなあなたの不安に寄り添い、墓じまいの全手順(手続き・費用)から、その後の新しい供養の形まで、専門家の視点で、どこよりも分かりやすく解説します。

1. そもそも「墓じまい」とは? なぜ今、考える人が増えているのか

墓じまいとは、今あるお墓を解体・撤去して更地にし、その土地を使用していたお寺や霊園にお返しすることです。そして、取り出したご遺骨は、別の場所で新しい形で供養します。
近年、以下のような理由から、墓じまいを検討する方が非常に増えています。

  • 継承者がいない 少子化により、お墓を継ぐ子どもがいない。
  • お墓が遠方にある 地方にあるお墓の管理が、物理的に難しい。
  • 経済的な負担 年間の管理費などが、家計の負担になっている。

2.【全体像】墓じまいの流れ・5つのステップ

墓じまいは、やるべきことが多く複雑に感じますが、大きな流れは以下の5ステップです。
最初に全体像を把握しておくと、この後の解説がスムーズに理解できます。

STEP
【合意形成】

家族・親族と話し合う

STEP
【移転先選定】

新しい供養先(お骨の行き先)を決める

STEP
【各種手続き】

現在のお寺・霊園と相談し、行政手続きを行う

STEP
【供養と取り出し】

閉眼供養と、ご遺骨の取り出しを行う

STEP
【納骨と撤去】

新しい供養先へ納骨し、墓石を撤去する

3. 各ステップの詳しい解説

STEP1:【合意形成】家族・親族と話し合う

墓じまいは、あなた一人の問題ではありません。必ず、ご兄弟やご親戚に事前に相談し、理解を得ておくことが、後々のトラブルを防ぐために最も重要です。

【プロの視点:話し合いで大切な、たった一つのこと】
話し合いの目的は、誰かの意見を押し通すことではありません。お墓に対する、それぞれの「寂しい」「申し訳ない」といった気持ちを、まずは正直に共有することです。「みんなが、これからも気持ちよく手を合わせられる形を、一緒に探したい」という姿勢で臨めば、きっと良い方向に進むはずです。

STEP2:【移転先選定】新しい供養先(お骨の行き先)を決める

取り出したご遺骨を、次にどこで、どのように供養するかを決めます。これが決まらないと、次の行政手続きに進めません。


▼主な選択肢はこちら

選択肢①:納骨堂

屋内で管理も楽な、現代の主流となりつつある選択肢です。天候を気にせずお参りできます。 [⇒墓じまい後の【納骨堂】という選択肢]

選択肢②:手元供養

ご遺骨の一部を、ミニ骨壺などで自宅に置き、故人をいつも身近に感じられる新しい供養の形です。 [⇒【手元供養】という新しい祈りのかたち]

STEP3:【各種手続き】現在のお寺・霊園と相談し、行政手続きを行う

現在の墓地管理者(お寺や霊園)に墓じまいの意向を伝え、必要な書類(埋葬証明書など)を発行してもらいます。同時に、移転先の自治体で「改葬許可申請書」を入手し、手続きを進めます。

STEP4:【供養と取り出し】閉眼供養と、ご遺骨の取り出しを行う

お墓からご遺骨を取り出す前には、お寺様にお経をあげていただく閉眼供養(へいがんくよう)を行います。

【プロの視点:閉眼供養の本当の意味】
閉眼供養とは、長年手を合わせ、ご先祖様が眠る大切な場所であったお墓に対して、「今までありがとうございました」と感謝を伝えて、その役割を終えていただくための、私たち生きている人間のための「けじめ」の儀式なのです。

[⇒【古い位牌はどうする?】の記事で、閉眼供養について詳しく解説しています]

STEP5:【納骨と撤去】新しい供養先へ納骨し、墓石を撤去する

石材店に依頼し、墓石を解体・撤去してもらい、土地を更地に戻します。そして、取り出したご遺骨を、STEP2で決めた新しい供養先へと納めます。

4. 費用の全知識|一体、総額でいくらかかるのか?

墓じまいの費用は、主に以下の3つの合計になります。これはあくまで一般的な全国平均の目安です。

費用の内訳金額の目安
①現在のお墓の撤去費用30万円~50万円
②行政手続きの費用数千円~1万円程度
③新しい供養先の費用10万円~150万円以上
合計約40万円~200万円以上

▼複雑な手続きを、専門家に無料相談したい方へ

墓じまいには、役所での手続きや、お寺様・石材店との調整など、非常に複雑で手間のかかる作業が伴います。

もし、「自分一人で進めるのは不安…」と感じる方は、こうした専門の団体に一度、無料相談してみるのも良いでしょう。全国対応で、全ての面倒な手続きを代行してくれます。

↓公式サイトはこちら

【まとめ】

墓じまいは、終わりではありません。
それは、ご先祖様との繋がりを、未来の世代が無理なく続けられる、新しい「かたち」へと、愛情をもって再構築する作業です。

この記事が、あなたの不安を解消し、ご家族全員が納得できる、後悔のない「墓じまい」への第一歩となれば幸いです。


「墓じまいと一緒に、仏壇の整理も考えている」
そう思われた方は、こちらの記事で「仏壇じまい」について詳しく解説しています。

[⇒【仏壇じまい】の方法と手順]

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

スギのアバター スギ 主任仏具コーディネーター

老舗仏具店にて16年以上勤務中。国宝寺院、重要文化財寺院、担当。仏壇、仏具、荘厳のプロ。

コメント

コメント一覧 (1件)

コメントする

目次