- お仏壇にお参りする際に、どうしたらいいかわからない。
- 結婚相手の実家のお仏壇にお参りにいくのですが、恥ずかしくないお参り方法を知っておきたい。
- 子どもに正しいことを教えたい。
このようにお思いの方は、この記事を読んでいただくとピッタリです。よければ、ブックマークしていただくとお仏壇にお参りするときに役立ちます。
私は、創業60年以上の老舗大型仏具店にて勤続12年以上になる現役仏具店員になります。仏壇の年間販売数380本以上、伝統仏壇、モダン仏壇(家具調仏壇)、特注造り付け仏壇など様々なタイプのお仏壇を取り扱ってます。寺院、神社などの専門分野の取り扱い。国宝、重要文化財指定の寺院にも出入りしています。
この記事を参考にお仏壇にお参りしてもらえば、今まで、なんとなくお参りしていた人も正式なお参りがわかります。お参りできているか不安になったり、まわりの目を気にすることがなくなります。
正しくお参りする手順
まずお仏壇に手を合わせる意味ですが、亡くなった人に手を合わせると思ってる人が多いと思いますが、それは間違いです。では誰に?というと、それはそもそもお仏壇には亡くなった人が入っているわけではなく仏さまをお祀りする場所です。位牌や過去帳といった亡き人の戒名や法名(宗派により違う)は安置していますが決してそこに亡き人の魂があるわけではありません。亡くなった人をご縁に今の自分がここに存在し、いのちと知恵をいただいたことに感謝し手を合わせるということです。なので、お仏壇にお参りするときには、敬意と感謝の気持ちで手を合わせるといいです。その敬意と感謝の気持ちを現すために、正式なお作法があります。
お参りの前に準備するもの
お参りする行事の規模によりますが、通常時にお参りの場合は特に何も準備するものはありません。正しい手順でお参りすれば大丈夫です。
年忌法要やお盆参りの際には、お念珠(数珠)を準備しておくとよいです。神道やキリスト教といった仏教以外の方でも一応準備しておくと丁寧でいいです。服装も正装までいかず、華美な服装を避ければ普段通りの格好で大丈夫です。
いざお参り
さあ、ではさっそくお参りです。
よっこいしょと、お仏壇の前にある座布団に座ります。、、、、、、はい、アウトです。
えっ!とお思いの方がほとんどだと思います。
実はお仏壇の前の座布団には座りません。座布団を脇にずらして、畳の上に座り、手を合わせていきます。そもそもお仏壇の前の座布団はお寺さま用になります。なので、一般の人は座布団をよけて畳に座ります。
なら普段は座布団をどかすかお客さん用の座布団を置けばいいじゃないのか。思うかもしれませんが、それも間違いです。
お仏壇の前には、お寺さま用の豪華な座布団を置くのが正式です。そして一般の人がよけてお参りするのが、お作法です。
なぜそのような使い方をするかというと、最初に書いたように敬意と感謝を現すためです。敬意と感謝を現そうとしているのに、自分の都合ばかりを優先しては伝わりません。自分の気持ちを言わずとも現すためのお作法です。
座布団をよけ座って、、、
次は皆さんどうされますか?下の順番でおこなうとスムーズにお参りできます。
- ロウソクに火つけ、そこから線香に火を付けます
- お仏壇の一番上の段の中心に安置されている、ご本尊さまを仰ぎます
- 手を合わせ、目をとじ、頭を下げます
- よけた座布団をもとの位置に戻します
- おりんはいつ?
ロウソクに火つけ、そこから線香に火を付けます
ロウソクに火をつけ、そこから火をつけるのは当たり前だとお思いだという方へ。
ロウソクの火には意味があります。
ロウソクの火には、ふたつの意味があります。まず、ひとつ目はご本尊さまを照らすという物理的な意味です。そして、ふたつ目がロウソクの光は、知恵の光を象徴しているということです。知恵の光とは、すべての人のこころの闇を照らし出し、救済しようというはたらきのことです。
なので、ライターやマッチからではなくロウソクの火から線香に火をつけましょう。
次に線香です。火をつけた線香を香炉(灰が入っている入れ物)に置きます。この時、置き方に注意してください。線香を立てて置くか、寝せて置くかの違いがあります。この違いは、宗派による違いです。寝かせて置くのが、浄土真宗本願寺派(お西)、真宗大谷派(お東)になります。立てるのは、この他の宗派(浄土宗、天台宗、真言宗、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗)になります。
ここで。えー、お参りする仏壇の宗派がわからないと思う方がいると思います。
安心してください。お仏壇をみてどの宗派かわかる人や各宗派のお作法がわかるという人は、ごく稀です。むしろ、仏壇、仏具店などの専門店の人間くらいだと思います。なので、皆さんは自分の宗派のお作法で線香を置いてもらって大丈夫です。
お仏壇の一番上の段の中心に安置されている、ご本尊さまを仰ぎます
お仏壇の中で一番のメイン(中心となるもの)は、ご本尊さまです。そのご本尊さまが置かれているのが、お仏壇の一番上の段の中心です。なので、メインのご本尊さまを仰ぎましょう。
わかりやすく言えば取引先の会社に行ったとき、その会社の社長さんと社員さんに挨拶する際に社長さんをまず見るのが当たり前というのと同じです。
敬意の意味を込めて、ご本尊さまを仰ぎます。
このときに、お供えされたご飯やお花が目に入ります。そして、当たり前のように食べられるご飯をいただけるこに感謝しましょう。また、お花は輝くいのちを現しています。今、この場にお参りできることに感謝しましょう。
手を合わせ、頭を下げます
このことを、合掌(がっしょう)礼拝(らいはい)といいます。
合掌は、こころを静かに落ち着かせるための動作です。
礼拝は、敬意のこころを現す動作です。
このときに、合掌のポーズは指をピンと真っ直ぐにし、胸の前で両手合わせます。そして、その手は身体に対しておよそ45度前方に傾けます。さらに、お念仏(南無阿弥陀仏、南無釈迦牟尼仏など)を声に出して称するとよりベストです。お念仏は、ご本尊さまにより違いますのでわからない方はこころの中で称すると失礼がないです。
よけた座布団をもとの位置に戻します
座布団はよけて、戻すまでがお作法です。なので、きちんともとの位置に戻すのを忘れないようにしてください。
自分で動かしたものは、自分でもとに戻しましょう。次の人がみたときに、気持ちよく使える思いやりが大事です。
おりんはいつ?
ここで、おりんをたたき忘れてますよ。とお思いの方、安心してください!
忘れたのではありません。あえてたたいてないのです。
そもそも、おりんはお経を読むときに使うお道具です。つまり、お経を読まないときは使う必要がないのです。ただ、おりんをたたいたから悪いということではありません。おりんには、こころを落ち着かせる、今からお参りするために気持ちをととのえるという意味合いもあるので、たたきたい方はどうぞお使いください。
まとめ
正しくお仏壇にお参りするということは、敬意と感謝の気持ちを現すということです。正式にすることにより、言わずとも気持ちを伝えることができます。
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