墓じまい後の【納骨堂】という選択肢|費用・種類・メリットデメリットを専門家が解説

【はじめに】ご遺骨の、新しい「家」を考える

墓じまいを決意したものの、次に悩むのが「ご遺骨の、新しい行き先」ですよね。
近年、その選択肢として、最も多くの方に選ばれているのが「納骨堂(のうこつどう)」です。

しかし、一口に納骨堂と言っても、様々な種類があり、費用もピンからキリまで。
「どれが自分たちに合っているのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。

スギ

こんにちは。「仏具の教科書」のスギです。
この記事では、仏具のプロである私が、納骨堂の全種類とその特徴、後悔しないための選び方のポイントを、どこよりも分かりやすく解説します。

1. 納骨堂とは?お墓との根本的な違い

納骨堂とは、故人のご遺骨を収蔵するための、屋内施設のことです。
従来のお墓との大きな違いは、主に以下の4点です。

  • 天候に左右されない:屋内なので、雨の日や真夏・真冬でも快適にお参りができます。
  • アクセスが良い:駅の近くなど、都市部の便利な場所にあることが多いです。
  • 管理の手間が少ない:草むしりなどの掃除の必要が、ほとんどありません。
  • 費用を抑えやすい:新しくお墓を建てるより、費用を抑えられるケースが多いです。

2.【種類別】代表的な納骨堂のタイプと費用相場

納骨堂には、主に4つのタイプがあります。それぞれの特徴と費用目安を見ていきましょう。

① ロッカー型


コインロッカーのような棚に、ご遺骨を個別に安置するシンプルな形式です。費用を最も抑えることができます。

  • 費用目安: 20万円~50万円

② 仏壇型


一つ一つの区画が小さなお仏壇のようになっており、上段にご本尊や位牌、下段にご遺骨を安置します。お骨がたくさんある方におすすめです。

  • 費用目安: 50万円~150万円

③ 自動搬送式(マンション型)


最も近代的なタイプです。ICカードなどをかざすと、バックヤードからご遺骨が参拝ブースまで自動で運ばれてくるハイテクな仕組みです。

  • 費用目安: 80万円~150万円

④ 位牌型


ご遺骨は合祀(ごうし・一箇所にまとめて埋葬)し、故人一人ひとりの位牌を立てて供養する形式です。

  • 費用目安: 30万円~80万円

3. メリット・デメリットから考える、後悔しない選び方

メリットデメリット
天候に左右されず、快適にお参りできるお墓参りらしい風情(屋外の開放感など)は少ない
駅近など、アクセスが良い場所が多いスペースが限られ、お供え物などに制限がある場合も
お墓の掃除などの管理の手間が少ない親族の理解が得にくい場合がある
費用を抑えられる場合がある契約期間があり、期間終了後は合祀されることが多い
宗教・宗派を問わない施設も多い

4. 他の選択肢と比較検討する、その前に

墓じまい後の供養として、納骨堂の他に「樹木葬」や「散骨」を検討される方もいらっしゃいます。

しかし、これらの新しい供養の形には、専門家としてぜひ知っておいていただきたい、未来への視点があります。
どの選択肢がご自身にとって最善か、心の軸を定めるために、まずは以下の記事からお読みいただくことを、私は強くお勧めします。


【!】まずはこちらをお読みください

流行の供養方法を選ぶ前に、知っておくべき「本質」があります。
あなたの家族が、10年、50年、100年先まで後悔しないための、プロとしての私の「本音」です。

[⇒【専門家が本音で語る】樹木葬・散骨のリスクと「納骨」の本当の価値を読む]

【まとめ】

納骨堂は、現代の私たちのライフスタイルに寄り添った、非常に合理的で素晴らしい供養の形です。
それぞれの特徴をよく理解し、ご家族が「ここなら、気持ちよくお参りができるね」と心から思える場所を選ぶことが、何より大切です。

この記事が、あなたの新しい「祈りの場」選びの、一助となれば幸いです。


「墓じまい全体の流れも、もう一度確認したい」
そう思われた方は、こちらの「完全ガイド」で詳しく解説しています。

[⇒【墓じまいの完全ガイド】費用・手続き・流れ・注意点を専門家が徹底解説]

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この記事を書いた人

スギのアバター スギ 主任仏具コーディネーター

老舗仏具店にて16年以上勤務中。国宝寺院、重要文化財寺院、担当。仏壇、仏具、荘厳のプロ。

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