【浄土真宗本願寺派のお飾り】仏具の置き方を現役仏具店員が教えます

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・浄土真宗本願寺派なのですが、道具の名前や使い方がわかりません。
・仏壇店やお参りにいった時に仏膳をよくみかけるのですが購入した方がいいのか不安です。
・お供え物は、仏飯、果物、お餅などでいいでしょうか?

実は、浄土真宗本願寺派は他の宗派より比較的お飾りが簡単です。ですので、正しい情報さえ見つけられればお飾りはすぐに覚えられます。

自己紹介

私は創業60年以上の仏具老舗店にて、12年以上の勤務(現在も勤続中)。
国宝、重要文化財指定の寺院にも出入り。
京都の本山、西本願寺にも研修にて参拝。
地元の本願寺派のお寺でも多数出入り。

色んな情報がある中で、正しい情報だけを探して見つけるのは大変な作業です。しかし、この記事では本願寺派の情報をわかりやすくまとめてます。

この記事を読めば、明日に法事があるという方でも間に合います。すぐに正しい飾り方ができ、何が必要で不要かがわかります。

浄土真宗本願寺派のお飾りと説明

浄土真宗本願寺派(お西)では、お仏壇のことを”お内仏(おないぶつ)”といいます。安置されたご本尊に重きをおいた言葉になります。

浄土真宗本願寺派の荘厳(お飾り)

上段

浄土真宗本願寺派では、ご本尊を阿弥陀如来としお仏壇の上段の中央に安置します。掛軸でも仏像でも大丈夫です。本山からの推奨は、掛軸になります。本山からいただいたお軸には、その時代のご門主が記されています。歴史的に価値のあるものは仏具屋などで表層して代々使っていくといいです。

浄土真宗本願寺派の宗祖、親鸞聖人。むっかて右側に置きます。本願寺派をはじめた方になります。掛軸を使用することがほとんどです。本山からの推奨は、掛軸になります。本山からいただいたお軸には、その時代のご門主が記されています。歴史的に価値のあるものは仏具屋などで表層して代々使っていくといいです。小型仏壇では省略する場合があります。

浄土真宗本願寺派8代目宗主。中興の祖とされます。いわゆる名君のことです。凄い活躍し貢献した人です。掛軸を使用することがほとんどです。むっかて左側に置きます。本山からの推奨は、掛軸になります。本山からいただいたお軸には、その時代のご門主が記されています。歴史的に価値のあるものは仏具屋などで表層して代々使っていくといいです。小型仏壇では省略する場合があります。

阿弥陀さん、両脇掛軸の前の柱に取り付けます。主に大型仏壇で使用します。画像では中央上部に房が下がっており、華鬘(けまん)といいます。金属製の金華鬘(かねけまん)を扱うこともあります。

炊いた白ご飯を山型にお備えする道具になります。宣徳色(せんとくしょく)や色付きといって、茶化色や黒っぽい色の物をおもに使用します。ただ、金色を使っても間違いではありません。本山の方からは明確に指示はありません。また、お備えのタイミングはご飯を炊いて一番最初にお備えしましょう。そして、手を合わせてお参りをおえたら、おさげして美味しくいただきましょう。自分たちがご飯をいただけていることに感謝する意味があります。仏器の数に関しては、⑧上卓(うわじょく)を使用していれば4つ(阿弥陀如来の前に2つ、両脇の前に1つずつ)、⑧上卓(うわじょく)がなければ、3つ(阿弥陀如来の前に1つ、両脇の前に1つずつ)、小型仏壇などの略式の場合は、阿弥陀如来の前に1つです。供器台(ぐはんだい)は、仏飯器をのせる台です。⑧上卓(うわじょく)に仏飯器を置く場合には供器台(ぐはんだい)は使いません。また、お仏壇が小さめの場合も供器台(ぐはんだい)を使わないことがあります。

阿弥陀如来の前に置きます。仏器を挟むように左右対称に1つずつ、計2つ使用します。色は、宣徳色(せんとくしょく)や色付きといって、茶化色や黒っぽい色の物をおもに使用します。用途は、樒(しきみ)または青い葉をお供えします。葉が枯れないようにお水を適量いれます。この時に左右対称にお飾りすると綺麗に見えます。

香を焚くための道具です。しかし、一般のお仏壇ではお飾りとして使用することがほとんどです。寺院などでは実際に香を焚き香炉として使用します。色は、宣徳色(せんとくしょく)や色付きといって、茶化色や黒っぽい色の物をおもに使用します。

阿弥陀如来の一番前に1本置きます。色は、宣徳色(せんとくしょく)や色付きといって、茶化色や黒っぽい色の物をおもに使用します。この蝋燭立は⑫の上卓(うわじょく)がある場合のみ使用します。

⑧の蝋燭立に立てて、常時置いておく道具です。朱色のものを使います。名前の通り木製になり実際に火をつけることはありません。間違えて火を付けないように気をつけましょう。

お供え物を置く道具です。六角、または八角のものを使用します。本願寺派(お西)では、おもに六角のものを使用することが多いです。柄などの絵が施されたものの中には、本願寺派(お西)でも八角を使用することがあります。第1にお餅、第2にお菓子、第3に果物などをお供えします。法事などのお寺さまがお参りされる際にはお餅が1番ふさわしいです。おすすめは、お正月時季になるとよく見る真空パックの小餅を何段か重ねて置くといいです。

本願寺派(お西)では、下り藤(さがりふじ)の宗紋が入ったものを使用することが多いです。平常、つまり日常のお参りのときには使用しません。それ以外のとき、法要、年中行事、家内での良い出来事ときに使用します。また、夏は涼しげな色合いのものを使い、正月などには華美な明るいものを使い、各時季、行事により使いわけます。喪中の際には、白地のものを使うこともあります。⑫の上卓(うわじょく)、⑲の前卓(まえじょく)がある場合は2枚使い、卓がない場合は、中段のみに使用します。下段の薄引き出しにかけて使用しているのをよくみますが、間違いですので、もし置いていればすぐに外すのがよいです。

阿弥陀如来の前方に置きます。中央阿弥陀如来側に⑧蝋燭立(ろうそくたて)を置き、その手前に⑦火舎(かしゃ)を置きます。⑧蝋燭立(ろうそくたて)を挟むように、⑤仏飯器を2つ置きます。⑦火舎(かしゃ)の左右に少し間をあけ⑥華瓶(けびょう)を置きます。行事のときには、⑪打敷(うちしき)を敷きます。敷き方は、上卓の天板との間に敷き込みます。

中段奥または下段

この段に置くものは、過去帳または法名軸のみです。

左右どちらかに置きます

先祖代々を書き記す道具です。お寺さまからいただいた法名、亡くなった日、俗名(生前の名前)、亡くなった年齢を書き込みます。置き方は阿弥陀如来の方に向けて置くと1番よいです。また、よくうちの家は、まだ新仏がいないから過去帳に書くことがないと思う方がいるかもしれませんが、それは間違いです。誰しもひとりでに生まれたわけではなく、先祖から繋いできた命により今、存在しています。なのでわかる範囲でご先祖さまを書き記しましょう。さらに、過去帳は家ごとに作っても問題ありません。つまり、3兄弟で住む場所が違えば、それぞれに過去帳を作られてよいです。過去帳に書き込むのは、お寺さまに頼まれるとスムーズでよいです。ご自分で書かれてもわるくはありません。

過去帳を置く台です。漆塗り、黒檀、紫檀など種類がありますが、本山からの指定はありません。お仏壇と過去帳に合わせて選ぶとよいです。本願寺派(お西)では、お位牌は使いません。なので、位牌の代わりに過去帳をお仏壇に置くための道具です。

法名を書き記すための道具です。お寺さまに頼んで作ってもらいましょう。置き方は、阿弥陀如来の方に向けて置くと1番よいです。軸用の台にかけるか、専用のピンで壁に留めて置きます。

中段

線香を焚く道具です。青磁色の陶器を使います。三本足のひとつを前にして置きます。線香は香炉に入る大きさに折って横にねかせて焚きます。必ず線香をねかせるのがポイントです。線香の数に決まりはありません。

蝋燭(ろうそく)を立てる道具です。三本足のものを使う場合は、ひとつの足を前にし、持ち手の飾りがあれば左右対称になるように置きます。普段蝋燭を使わないときは、木蝋(もくろう)という木製の飾りを刺しておきます。蝋燭立の芯を刀の刀身に見立て、日頃はサヤに納めておくという意味合いがあるという説があります。普段は、白い洋蝋燭(芯が糸タイプ)、行事などの時は朱の和蝋燭を使います。

生花を立てる道具になります。”かびん”と書いてかひんと読みます。花立でも意味は通じますので問題はありません。花瓶の1.5倍くらいの花を立てるといいです。 宣徳色(せんとくしょく)や色付きといって、茶化色や黒っぽい色の真鍮製のものをおもに使用します。陶器製のものは用いません。また花は、香りの強いもの、花粉が多いもの、トゲのあるものは使わないのがポイントです。

蝋燭の芯が太く紙巻になったタイプになります。仏壇を購入(仏壇開きまたは入仏法要)した際や仏壇の移動(御移徒”おわたまし”)、七回忌以降の年忌法要に使います。また、何か喜ばしいことがあったときに使っていただいても大丈夫です。法要も亡くなった方をご縁に、いのちと知恵をいただいたことに気づき、感謝と喜びの意味で朱蝋燭を使います。

中段に乗せて使います。四方の足が内側に向いたもの使います。普段はこの机の上に、花瓶(向かって左)、玉香炉(真ん中)、蝋燭立(向かって右)の計3つを置きます。この3つを、三具足(さんぐそく)といいます。大きな行事のときには、花瓶、蝋燭を一対左右に置き、さらに前卓と天板(水板”みずいた”)の間に打敷(うちしき)の白い部分のみ敷き込みます。このとき、花瓶、蝋燭立、玉香炉、蝋燭立、花瓶の計5つを五具足(ごぐそく)といいます。

前卓
三具足
五具足

仏壇の外

仏壇の前に置きます。漆塗、黒檀、紫檀など種類がありますが、仏壇に似た色合いで選ぶとよいです。この机の上には、経本のみ(念珠を置いても可)を置きます。注意点として、この机に余分なものは置きません。

宗派により専用の教本があります。浄土真宗本願寺派の場合は、在家勤行集という赤い本があります。お寺さまにいうとくださいますので、気軽に聞いてみてください。仏具店やお寺の方で販売しているものもありますので、必要な方は探してみてください。般若心経は有名ですが、浄土真宗本願寺派ではよみません。

掛軸の左側、③蓮如上人が著者の本になります。

お経をよむときに鳴らします。お供えものをするときや、手を合わせるときに鳴らすものではありません。

浄土真宗本願寺派では、布団を使います。丸形、角形、花形と形は色々ありますが、オススメは丸形です。鈴本来の響きが一番味わえます。

浄土真宗本願寺派では、丸台や六角台を使います。台は、使わないこともあります。

棒の種類は、皮巻き、金襴巻きなど色々あります。特に宗派で指定はありません。お好みで選んでもらって大丈夫です。最近は高級仕様の、金属製ラバー巻きのものもあります。鈴本来の音、余韻、響きが出しやすくなります。

その名の通り、鈴棒を置く台です。必ず使わなければならない道具ではありません。鈴棒は、鈴の中に置いたり鈴の脇にそのまま置くこともあります。

お仏壇の前に常日頃から置いておきます。夏時季は、ゴザのタイプに敷き替えます。夏以外は、綿の入ったものを使います。座布団は、お寺さま用になります。日頃から敷くのですが、私たちがお参りするときは座布団を脇によけて畳の上に座るりお参りします。

吊り下げ飾り

ご本尊の脇柱、正面に一対を吊るします。電装を施すことができ、ご本尊のお顔や姿を明るく照らすために用います。六角型猫足のタイプが専用になります。猫足とは、足が猫の手のように内側に丸まっているものです。灯籠に窓がついている場合は、お寺さまがお参りの際に灯籠を180度回して窓を開けてご本尊のお顔がより照らされるようにすることがあります。

隅瓔珞ともいって宮殿の屋根の隅に吊り下げます。お西のみで使います。

お仏壇の中を照らすための道具です。一番下の皿に油を入れて灯芯を使い火をつけて使います。ただし、ここ近年は技術の発展により専用のLED灯があり、そちらを使うことがほとんどです。菊型のものを使います。

まとめ

コメント

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