結論
まず結論から言いますと、浄土真宗本願寺派(お西)に位牌は必要ありません。つまり位牌は使用しません。
創業60年以上の老舗仏具店で15年以上勤務。現在も現役の仏具店員として勤務中。国宝寺院、重要文化財指定寺院などにも出入りしています。このような経験から専門家としての目線から正しいアドバイスができます。
はじめに
浄土真宗本願寺派において、位牌の有無は長らく議論されてきたテーマの一つです。本記事では、浄土真宗本願寺派の教えに基づいた位牌に対する考え方、歴史的な背景、そして現代における実際の状況について、詳細に解説していきます。
浄土真宗本願寺派の教えと位牌
浄土真宗本願寺派では、阿弥陀如来の無限の慈悲によって、すべての衆生が極楽浄土に往生できると説かれています。この教えに基づくと、亡くなった人はすでに極楽浄土で安らかに過ごしているため、現世で位牌を立てて供養する必要はないと考えられます。
- 阿弥陀如来の慈悲: 阿弥陀如来は、私たち人間を含めたすべての生き物を極楽浄土という素晴らしい世界へ導こうと願っています。
- 衆生:すべての生きとし生けるもののことを指すます。
- 往生: 亡くなった人は、阿弥陀如来の力によって、すでに極楽浄土へ生まれ変わっていると考えられています。
- 位牌や供養: そのため、現世で位牌を立てたり、供養をしたりする必要はないとされています。
位牌の代わりとなるもの
浄土真宗本願寺派では、位牌の代わりに以下のものが用いられます。
- 過去帳: 故人の名前や没年月日などを記した帳簿です。毎日、お勤めの際に読誦されます。
- 法名軸: 故人の法名が書かれた掛け軸です。仏壇の中央に掛けられます。
これらのものは、位牌のように故人の魂が宿ると考えられているわけではなく、あくまでも故人を偲び、その功徳を祈るためのものです。
なぜ浄土真宗本願寺派では位牌を置かないのか?
浄土真宗本願寺派で位牌を置かない主な理由は以下の通りです。
- 往生浄土の思想: 浄土真宗本願寺派では、死後、人は阿弥陀如来の誓願によって、必ず極楽浄土に生まれると信じられています。そのため、現世で供養を続ける必要はないという考え方が根底にあります。
- 位牌に対する考え方: 位牌は、故人の魂が宿ると考えられていますが、浄土真宗本願寺派では、魂は極楽浄土に往生すると考えられているため、位牌に魂が宿るという考え方は合いません。
歴史的な背景
浄土真宗本願寺派が成立した時代から、位牌に対する考え方は変化してきました。創始者である親鸞聖人は、位牌について明確な言及はしていませんが、その教えから、位牌よりも念仏によって阿弥陀如来を称えることの重要性を強調していたと考えられます。
現代における状況
現代では、浄土真宗本願寺派でも、家族の思いや地域の慣習など、様々な理由から位牌を置く方も少なくありません。寺院によっては、位牌を置くことについて否定的に考えないところもあります。
位牌を置きたい場合
浄土真宗本願寺派で位牌を置きたい場合は、以下の点に注意しましょう。
- ご住職への相談: まずは、ご自身の所属する寺院のご住職にご相談ください。ご住職から、宗派の教えに基づいた適切なアドバイスを受けることができます。
- 家族との話し合い: 家族の意見を尊重し、話し合いの上で決定することが大切です。
- 他の宗派との関係: 他の宗派の親戚がいる場合、位牌の有無について、事前に相談しておくと良いでしょう。
まとめ
浄土真宗本願寺派では、位牌はあくまで個人の信仰心に基づいた選択であり、必ずしも必要不可欠なものではありません。大切なのは、故人を偲び、阿弥陀如来の教えを心に刻み、日々精進することです。
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