「魂入れ・魂抜き」とは何?分からない。というお声、よく聞きます。ご家族の方が亡くなられたり、仏壇や位牌を新調されたり、様々な場面で「魂入れ」や「魂抜き」という言葉が出てきて、戸惑われる方も多いでしょう。
仏具店員として、多くの方々からご相談を受けるこれらの言葉について、分かりやすく解説させていただきます。
魂入れ・魂抜きという言葉はあくまで儀式や考え方に準じた名称です。本当に亡くなった人の魂を入れたり出したりするという意味ではありません。また、宗派やお寺様によっては、これらの言葉や儀式を扱わないこともあります。浄土真宗本願寺派(お西)、真宗大谷派(お東)では特にこれらの言葉、儀式を行わないのがほとんどです。
創業60年以上の老舗仏具店で15年以上勤務。現在も現役の仏具店員として勤務中。国宝寺院、重要文化財指定寺院などにも出入りしています。このような経験から、専門家としての目線から正しいアドバイスしていきます。
「魂入れ・魂抜きとは?」
魂入れとは、新しく作った位牌に故人の霊魂を迎え入れる儀式のことです。故人が安らかに眠れるよう、位牌に魂を込めることで、位牌が単なる木製の板ではなく、故人の象徴となるのです。
一方、魂抜きは、位牌から故人の霊魂を抜き取る儀式です。位牌を処分する場合や、仏壇を引っ越しなどで移動させる際に、行われることがあります。
「魂入れ・魂抜きはいつ行うの?」
☆魂入れ
- 新しい位牌を作成したとき
- 旧い位牌から新しい位牌に移すとき(作り替え、修理など)
- 仏壇を新しくしたとき
☆魂抜き
- 位牌を処分するとき
- 仏壇を引っ越しなどで移動させるとき
- 位牌を修理するとき
「魂入れ・魂抜きの方法は?」
魂入れ・魂抜きは、宗派や地域によって行い方が異なります。一般的には、お寺様に依頼して読経をしていただき、儀式を行います。
☆お寺様に依頼する場合
- 菩提寺(普段頼まれてるお寺)にご相談ください。
- ご自宅や寺院で儀式を行うことができます。
☆自分で行う場合
- 基本的にご自分で行うことはございません。宗派によって作法が異なります。ご自分ではなく必ずお寺様にご相談しましょう。
「魂入れ・魂抜きは必ずしなければならないの?」
魂入れ・魂抜きは、必ずしなければならないものではありません。宗派によっては、魂入れ・魂抜きの考え方がない場合もあります。
☆宗派によって異なる
- 浄土真宗本願寺派(お西)、真宗大谷派(お東)では、魂入れ・魂抜きの考え方がありません。
☆ご家族の考え方で決める
- ご家族の考え方や故人の宗旨宗派などを考慮して、ご相談ください。ただ、専門的な事柄になるので、お寺様や仏具店に相談するのをおすすめします。
「まとめ」
位牌の魂入れ・魂抜きは、故人を偲び、供養するための大切な儀式です。しかし、行わないから“バチが当たる”、“祟りがある”、というものでもありません。ただ、なぜ行うのかを一度考えてみてください。先祖から命と知恵をいただき、それを形に現すことが出来るという機会に手を抜くのか、ちゃんとやっていくかは残された者次第です。あとに続く者たちにも、先祖と同じように、伝えて繋げていくというのも残された者の勤めのひとつだと考えます。手を抜くことが、基本になってしまっては、いざ、ちゃんとするときに出来ません。あなたの背中を見て子どもは育ちます。より良い社会になっていくのは、あなたの姿がひとつの要因になっているかもしれないと考えていただければと思います。
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